フリーランスの社会保障

  1. 01 社会保障はどうする?

    フリーランスはサラリーマンと違って社会保障の手続きを自分自身で行わなければなりません。その前に、「そもそも社会保障って何ですか?」という声が聞こえてきそうですね。社会保障制度とは「社会保険」、「社会福祉」、「公的扶助」、「保健医療・公衆衛生」を総称したものです。
    この中で働く人にとって特に重要なのが「社会保険」です。
    社会保険」は、病気・怪我・出産・死亡・老齢・障害等の生活に困難をもたらすことに遭遇した場合に、一定の給付を行うセーフティネット機能のことです。
    そのため、加入や変更の手続きを忘れていると大変なことに…
    今からもう一度「社会保険」について勉強してみましょう。

  2. 02 サラリーマンと異なる社会保険

    通常サラリーマンの場合は「健康保険」と「厚生年金保険」に加入します。
    会社で働いている時は、総務部や人事部の指示通りに必要な書類を記入して提出していれば、その手続きは済んでいました。
    しかし、フリーランスの場合はそうはいきません。全て自分自身で手続きを行う必要があるのです。
    手続きはお住いの市区町村の国民健康保険課、国民年金課等で行います。必要な書類は各自治体によって異なるので、事前に電話等で確認をしておきましょう。
    手続きを完了していないと、病院で受診する際に全額負担の支払いになってしまい、愕然とすることになります。

    • サラリーマン
      健康保険
      厚生年金保険
    • フリーランス
      国民健康保険
      国民年金保険
  3. 03 国民健康保険料はいくらぐらい?

    市区町村が運営する国民健康保険は、地域の実情に応じた制度になっていることが特徴です。
    国民健康保険の一世帯当たりの保険料は、所得割・資産割・均等割・平等割の4つ基準を組み合わせて、算出されます。組み合わせ及び各項目の金額や料率は、各市町村が個々に定めることになっています。そのため、住んでいる市区町村によって保険料は異なり、同じ条件下であっても、住んでいる場所によって年間で10万円以上の差が出ることもあります。

    4つの基準

    • 所得割
      前年度の収入に
      より算定
    • 資産割
      世帯の資産に
      応じて算定
    • 均等割
      世帯の加入数に
      応じて算定
    • 平等割
      世帯あたりの
      固定額
  4. 04 任意継続という選択肢もある

    フリーランスになったら即、国民健康保険に加入!」と早合点してはならない理由がここにあります。会社を辞めてフリーランスになった場合は、もう一つの選択肢として「任意継続」があるのです。

    「任意継続」とは、社会保険を加入していた会社を退職する際に、ある一定の条件を満たしていれば、退職後もその健康保険を継続できるというものです。なお保険料については、サラリーマン時代の保険料は事業主との折半ですが、退職後に任意継続にした場合は全額自己負担となります。そのため、任意継続にした場合の保険料は、サラリーマン時代の保険料の2倍と考えてください。 ただし、任意継続の場合は本人が退職時に支払っていた保険料と、健康保険組合全員の平均の保険料を比べて、どちらか安い方の保険料に設定されますので、サラリーマン時代に高い社会保険料を払っていた人(給料が高額だった人)は任意継続にすると保険料が安くなることがあります。

    退職された方にとって、国民健康保険加入か任意継続かの選択はとても重要です。
    支払う保険料に大きな差がでるかもしれないので、「任意継続」をした場合と、ご自身の住んでいる市区町村の国民健康保険に加入した場合の、保険料や条件をしっかり調べて判断していきましょう。

    任意継続の条件など

    • 加入条件
      ・2か月以上社会保険に加入していた
      ・退職後20日以内に申請
    • 加入期間
      上限2年
    • 喪失条件
      サラリーマンになったとき
      2年が経過したとき
      1日でも滞納したとき
    • 手続き場所
      サラリーマン時代に
      加入していた協会保険又は
      健康保険組合
  5. 05 国民年金保険料はいくらぐらい?

    年金について、フリーランスの人は国民年金制度に加入します。
    これは市区町村によって差は発生しません。毎月1人当たり15,250円(平成26年度)です。
    ただし、所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金を納めることが経済的に困難な場合は、申請をして承認されると保険料の納付が免除になります。
    免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の四種類があります。

    保険料免除の種類

    前年所得(または前々年所得)が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
    • 全額免除
      (扶養親族等の数+1)
      ×35万円+22万円
    • 4分の3免除
      78万円+扶養親族等控除額
      +社会保険料控除額等
    • 半額免除
      118万円+扶養親族等控除額
      +社会保険料控除額等
    • 4分の1免除
      58万円+扶養親族等控除額
      +社会保険料控除額等

    また、20歳から30歳未満の方で本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合には、保険料の納付が猶予される若年者納付猶予制度もあります。詳しくはこちらをご覧下さい。

  6. 06 保険料の支払い

    1. 国民健康保険料
    国民健康保険の場合、保険料の納付は世帯単位で行われ、世帯主が国民健康保険に加入者でなくても、世帯内に加入者がいれば世帯主宛に納付書が送られてきます。
    国民健康保険料の納付方法は口座振替と納付書での2種類の支払い方法があり、納付書で支払う場合は、1年分を一括納付することができ、割引制度が適用されます。

    2. 国民年金保険料
    国民年金の場合は、各個人宛に納付書が送られてきます。
    国民健康保険料の納付方法は、口座振替、クレジット、納付書(各金融機関、郵便局、コンビニなど)、電子納付(インターネットバンキング、モバイルバンキング、ATM、テレフォンバンキング)などがあります。また、2年前納・1年前納・半年前納・早割といった各種割引制度もあり、まとめて前払いするとお得になります。

    なお、割引額はそれぞれ異なります。詳しくはこちらでご確認ください。

    3. その他
    国民健康保険料、国民年金保険料ともに社会保険料控除の対象となりますので、忘れずに確定申告しましょう。